「ミッドナイトエクスプレス」
バックパッカーのバイブル、深夜特急
著者の沢木耕太郎さん
シルクロード横断の時、漢詩の本を持ち歩いた
詩というものが旅の暇に耐える本だったそう
一塊の言葉で数百数千のことに思いを馳せることができたのだろう
イタリアのブリンディジに渡る青い地中海の上で李賀の詩を読んだ
”飛光よ、飛光よ、汝に一杯の酒をすすめん”
その時、僕もまた、過ぎ去っていく刻へ一杯の酒をすすめようとしていたのかもしれません
深夜特急5「トルコ・ギリシャ・地中海」篇・第15章「絹と酒」より
これほど痺れるシーンはない
こんなカッコ良い大人になりたいと心底憧れた
14の時、腰を骨折し打ち込んでいたバスケもできず暇を持て余していた
そんな自分がこのシーンに衝撃を受け一気に旅にのめり込んだのを覚えている
著者に憧れ、14の冬に1人で鈍行の旅に出かけた
4日かけて九州を巡った
海外をいくつも回るようになったが
振り返ってみても
大人になりたくて背伸びした
あの時の高揚を超えるものはない
温泉水と泉の水は違う
薬水とただの水は違う
石灰石とカラス石は硬度が違う
水石とただの石は違う
御言葉とただの言葉が同じであろうか
一言を持って数億の価値ある神の言葉だ
一言を持って数百通り悟る神の言葉だ
一言で心配、悩み、憂い、問題を解く万能薬だ
脳の奥深くに刻んで生きてこそ硬度の大きい作品の人になる
私もバイブル片手にシルクロードを放浪したい人生だなぁ