『丑三つ時の桜島』

  • 2023年12月16日
  • poem

バイトの帰り道

ふと走りたくなった

近くにある1周36kmの島が頭に浮かんだ

 

いくしかない。

 

気付けばフェリーの屋上

あと数分で到着する島を見つめ

夜風に吹かれていた

 

右手には懐中電灯

左ポケットには天然水

時計の針は0時過ぎを指す

心は躍る

 

 

丑三つ時

静寂が耳に響く森の中

月光に照らされた私の影がどこまでも私を追いかける

追い付かれぬよう気が狂わぬようにと

森の中を叫びながら駆け抜ける

 

人は狂うから叫ぶのか

はたまた狂わぬようにと叫ぶのか

 

暗闇から無数の人に見られている気もするし

自分1人だけの世界に迷い込んできた気もする

 

真っ暗闇

懐中電灯の光が切れたが

星が照らし

月も照らす

この光さえあれば満足だ

 

夜通し走れば太陽もいつかは燦爛と照らす

光ばかり待たないようにしよう

この暗い夜を格好良く走り抜けてみよう

 

すてきな人生を走りなさい

 

そう言われた気がした。

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