バイトの帰り道
ふと走りたくなった
近くにある1周36kmの島が頭に浮かんだ
いくしかない。
気付けばフェリーの屋上
あと数分で到着する島を見つめ
夜風に吹かれていた
右手には懐中電灯
左ポケットには天然水
時計の針は0時過ぎを指す
心は躍る
丑三つ時
静寂が耳に響く森の中
月光に照らされた私の影がどこまでも私を追いかける
追い付かれぬよう気が狂わぬようにと
森の中を叫びながら駆け抜ける
人は狂うから叫ぶのか
はたまた狂わぬようにと叫ぶのか
暗闇から無数の人に見られている気もするし
自分1人だけの世界に迷い込んできた気もする
真っ暗闇
懐中電灯の光が切れたが
星が照らし
月も照らす
この光さえあれば満足だ
夜通し走れば太陽もいつかは燦爛と照らす
光ばかり待たないようにしよう
この暗い夜を格好良く走り抜けてみよう
すてきな人生を走りなさい
そう言われた気がした。